仮縫い靴は主にフィッティングの確認を目的に作るものですので、革の品質、デザインのディテール、底材の仕様など、フィッティングを見る上での必要条件を満たしていれば、見た目のクオリティは念頭に置いていません。
ご注文されるお客さんの中には、初めてのオーダーで仮靴とのご対面を楽しみにして来られ、その仮靴を見て、「あれ?」という表情をされる方もおられます。わからないでもないですが、あくまでも足入れの感じをみるための計測具、ぴったりの靴を作るための判定材料を作っていると思っていただけると幸いです。
ただ、靴の大筋のデザインとフォルムはここで確認していただけます。爪先の形状や捨て寸(指先より前のスペース)などはこの時に可能な範囲であれば、修正して納得のいくフォルムに変更できますし、デザインの微調整やディテールの追加、省略などもこの段階で検討していただけます。